机上、枝条、そのほか

机上、枝条、そのほか

アフォリズムのリハビリテーション #1106

■貨幣によって支払うということは、直接には、もちろんまさに購入しようとしている商品の売り手と関係することである。しかし、そのことを通じて、買い手は、必然的に、そのときには具体的には想定されていないもう一段向こう側の他者、つまり売り手の貨幣を受け入れる後続の他者と関係したことになる。そのような関係は、具体的に思い描かれたり、表象されたりする必要はない。しかし、それが存在することは必須の前提でもある。そのような後続の他者(他者の他者)こそが、目下の支払いの可能性の条件を与えるからである。

大澤真幸『恋愛の不可能性について』