2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧
・水のごと 身体(からだ)をひたすかなしみに 葱(ねぎ)の香(か)などのまじれる夕(ゆふべ) 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・やや長きキスを交(かは)して別れ来(き)し 深夜の街の 遠(とほ)き火事(くわじ)かな 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・しみじみと 物うち語る友もあれ 君のことなど語り出(い)でなむ 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・君に似し姿を街(まち)に見る時の こころ躍(をど)りを あはれと思へ 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・世の中の明るさのみを吸ふごとき 黒き瞳(ひとみ)の 今も目にあり 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・その膝(ひざ)に枕(まくら)しつつも 我がこころ 思ひしはみな我のことなり 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・今夜こそ思ふ存分(ぞんぶん)泣いてみむと 泊(とま)りし宿屋の 茶のぬるさかな 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・治(をさ)まれる世の事無(ことな)さに 飽(あ)きたりといひし頃こそ かなしかりけれ 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・さりげなき高き笑ひが 酒とともに 我が腸(はらわた)に沁(し)みにけらしな 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・とるに足らぬ男(をとこ)と思へと言ふごとく 山に入(い)りにき 神のごとき友 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・漂泊(へうはく)の愁(うれ)ひを叙(じよ)して成(な)らざりし 草稿(さうかう)の字の 読みがたさかな 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・はてもなく砂うちつづく 戈壁(ゴビ)の野に住みたまふ神は 秋の神かも 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・われ饑(う)ゑてある日に 細き尾を掉(ふ)りて 饑ゑて我を見る犬の面(つら)よし 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・わが為(な)さむこと世に尽(つ)きて 長き日を かくしもあはれ物を思ふか 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・秋立つは水にかも似る 洗(あら)はれて 思ひことごと新しくなる 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・「生ある者の地獄とは未来における何ごとかではございません。もしもじ獄が一つでも存在するものでございますなら、それはすでに今ここに存在しているもの、われわれが毎日そこに住んでおり、またわれわれがともにいることによって形づくっているこの地獄…
・「もし都市の一つ一つが将棋の手合いのようであるのなら、その規則を完全に知りつくすことができた日こそ、ついにわが帝国をわが手にすることとなるのだ、たとえその都市を残らず知るに至ることがついになくとも。」 I・カルヴィーノ『見えない都市』
・「他の都市(まち)の長所を知るためには、言外には明らかにされぬ最初の都市から出発しなければなりません。わたしにとっては、それはヴェネツィアでございます。 I・カルヴィーノ『見えない都市』
・「帝国を押しつぶそうとしているのは、帝国そのものの重みなのだ」 I・カルヴィーノ『見えない都市』
・きみ だけだ 美樹・・・・ きみ ひとりの ために おれは 戦う この 世界を きみの 住めない 悪魔の世界には させないぞ! きみの・・・・ 永井豪とダイナミックプロ『デビルマン』
・おれは からだは 悪魔に なった・・・・ だが 人間の心を うしなわ なかった! きさまらは 人間の からだを もちながら 悪魔に! 悪魔になっ たんだぞ! これが! これが! おれが 身をすてて まもろうとした 人間の正体か! 地獄へおちろ 人間ども! 永井…
・おまえに くらべれば おれは 善良なもんだ 人間どものいう 仏さまのように 慈悲ぶかいよ なんせ おれは 食った だけだから なー 人間の感覚じゃ 生き物を 食うのは わるいことじゃ ない そーだろう 従順で おとなしい ウシ ブタを へいきで 食ってるからな…
・夏の柔らかな箱で眠る赤ん坊、俺達はすべてあの音を聞いた、空気に触れるまで聞き続けたのは母親の心臓の鼓動だ、一瞬も休みなく送られてきたその信号を忘れてはならない、信号の意味はただ一つだ。 村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』
・おしゃれしなきゃだめよ、おしゃれは世界で一番空しい遊びなんだから、だから楽しいのよ、洋服や化粧は何のためにあるか知ってる? 脱がされて裸にされるためにあるのよ、見る人にね自分のあそこを想像させるためにあるの、裸にされてぶたれて顔に水をかけ…
・ああ夢で良かったと胸を撫でまた続けて眠れる時は、恐い夢とは言わない。本当に恐い夢は目覚めてベッドの上で深呼吸しても、頭から抜け出し部屋を幽霊のように占領してどんどんその数が増え家具やカーテンの陰に隠れて見張りもう二度と眠ることはできない。…