机上、枝条、そのほか

机上、枝条、そのほか

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

アフォリズムのリハビリテーション #1208

■新しいことが、即「現代的」なのではない。新しいことは良いことだと断定するイデオロギーが、「現代的」なのである。 松浦寿輝『エッフェル塔試論』

アフォリズムのリハビリテーション #1207

■エッフェル塔とは、ひとことで言えば、「パリ」を「アメリカ」的に擁護している分裂症的な表象装置なのである。 松浦寿輝『エッフェル塔試論』

アフォリズムのリハビリテーション #1206

■「近代」とは、実のところ「パリ」対「アメリカ」のイメージ闘争そのもののことなのだ。それは、必ずしも、ユイスマンスら旧派知識人たちが思い描いていたような、「パリ」のイメージと「アメリカ」のイメージとの葛藤のことではない。伝統文化の記憶集蔵体…

アフォリズムのリハビリテーション #1205

■われわれは〈塔〉のエレヴェーターに乗って、ただ単にその終点まで行き、そしてまた帰ってくる。それは行き止まりであり、袋小路であり、その先には空虚な天空の広がり以外に何もない。これは、住居や事務所や店舗のための効率的な空間活用に寄与する資本主…

アフォリズムのリハビリテーション #1204

■葛藤し合う「パリ」と「アメリカ」との接点にそそり立ち、「パリ」として存在しつつ「アメリカ」として機能しているものが、エッフェル塔なのである。 松浦寿輝『エッフェル塔試論』

アフォリズムのリハビリテーション #1203

■「美」を表象するものが「芸術」である。他方、何も表象せずただ機能するものが「産業」である。ところでエッフェル塔は、その高さを利用して何を行えるかと問うことなしに、単に屹立する建築的な構造体そのものとして眺めるかぎりでは、「産業」にとって何…

アフォリズムのリハビリテーション #1202

■「そうだ。考えてもみろよ。人間は人間だけを相手に嫉妬する。どこの世界に、犬や猫を相手にやきもちをやく連中がいるだろう。おれが綺麗な白人の娘と抱き合って歩いていても、ここの連中はなんとも感じないのさ。なぜかといえば、彼等は黒人をダックスフン…

アフォリズムのリハビリテーション #1201

■「君もいいミュージシャンになり給え。そのためには、音楽を信じ過ぎてはいけないよ。これが私の言える唯一の助言だ」 五木寛之『青年は荒野をめざす』

アフォリズムのリハビリテーション #1200

■私が本当に絶望したのは、人間が人間を皮張り細工の材料に使うという事実を発見した時ではなかった。そんな非人間の指から、あの美しい音楽が流れ出した、まさにその事に対してだったのだ。いいかね、私は美しい音楽は美しい心からしたたり落ちる音だと信じ…

アフォリズムのリハビリテーション #1199

■「スイングとは何か。それはアンビバレンツの美学である。アンビバレンツ、つまり二つの対立する感情が同時に緊張を保って感覚されるような状態の中で、激しく燃焼する生命力がスイングだ。愛と憎悪、絶望と希望、転落感と高揚感、瞬間と永遠、記憶と幻想、…

アフォリズムのリハビリテーション #1198

■自分らは突撃してゆく。半数、過半数がやられるだろう。弾に当れば、あとは死が解決してくれる。万一当らなければ敵陣に突入してぐさりと銃剣を突き刺す。いずれにせよ何もかもが一瞬のことで決るのだ。自分は死をこわいとは露ほども思わない。たとえこれか…