2008-01-01から1年間の記事一覧
・精神異常者も不具者も、正常だと思ってる者も、個人的な沈黙を持ってる。歌ってのは、その沈黙を刺激してやるだけでいいのさ。 村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』
・女の乞食や浮浪者を見ると、ドキッとするよ、僕を産んだ女じゃないかと思っちゃう、薄汚れて一人ぼっちで、いやしい怯えた目でペコペコ頭を下げて残飯を貰ってる女を見ると、そう思ってぞっとするんだ、だって、僕を産んだ女はきっと不幸になってるよ、僕…
・ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・かにかくに渋民村(しぶたみむら)は恋(こひ)しかり おもひでの山 おもひでの川(かは) 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・糸切れし紙鳶(たこ)のごとくに 若き日の心かろくも とびさりしかな 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・夢さめてふっと悲しむ わが眠り 昔のごとく安からぬかな 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・眼を病みて黒き眼鏡(めがね)をかけし頃 その頃よ 一人泣くをおぼえし 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・かなしみといはばいふべき 物の味(あぢ) 我の嘗(な)めしはあまりに早かり 石川啄木「一握の砂」(『啄木歌集』より)
・「いつまでもこうやって、一生、手をつないで行きましょう! カラマーゾフ万歳!」 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
・現在われわれは、慄然とするか、あるいは慄然としたふりをして、その実むしろ反対に、われわれの冷笑的(シニカル)で怠惰な無為を揺さぶってくれる強烈な異常な感覚の愛好者として、この見世物を楽しんでいるか、さもなければ、幼い子供のように、この恐…
・なかには、友達にしとくより敵にまわすほうが有利な人間もいるけどな。 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
・「『この問題を解決するには、何よりもまず自己の人格を自己の現実と真向から対決させることが必要である』だとさ。わかるかい、え?」 「いいえ、わかりませんね」アリョーシャは言った。 彼は好奇心をみせてミーチャの手もとをのぞきこみ、話をきいてい…
・あの人、こまみたいなもんだわ。精いっぱいまわして、鞭でびゅんびゅんたたいてやるといいのよ。あたしがあの人と結婚したら、一生こまみたいにまわしてやるわ。 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
・世間には、深い感情を持ちながら、なにか抑圧された人々がいるものです。そういう人たちの道化行為は、長年にわたる卑屈ないじけのために、面と向って真実を言ってやれない相手に対する、恨みの皮肉のようなものですよ。 ドストエフスキー『カラマーゾフの…
・何か一つの思想とも言うべきものが、頭の中を支配しつつあった。そしてそれはもはや一生涯、永遠につづくものだった。大地にひれ伏した彼はかよわい青年であったが、立ちあがったときには、一生変らぬ堅固な闘士になっていた。 ドストエフスキー『カラマー…
・いまさら日数なんぞ数えて何になりますか。人間が幸福を知りつくすには、一日あれば十分ですよ。 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
・責めて見ろ 私は窮鼠となってあらわれずに 窮虎となってあらわれる。 武者小路実篤「責めて見ろ」(『日本の文学20』より)
・自分の謎のいやが上に大きからんことを 祝福して 武者小路実篤「誕生日に際しての妄想」(『日本の文学20』より)
・「なーに君、放蕩者はもっとうまく放蕩するよ。ただ酒のんだり、女とさわいだり、すればいいのだからね。個人を相手にするのじゃなくって快楽を相手にするのさ」 武者小路実篤「お目出たき人」(『日本の文学20』より)
・しかし女の柔らかき円味ある身体(からだ)。優しき心。なまめかしき香。人の心をとかす心。ああ女と舞踏(タンチェン)がしたい、全身全心をもって。いじけない前に春が来てくれないと困る。 武者小路実篤「お目出たき人」(『日本の文学20』より)
・最初を真面目にやらなかったからきっといけないんだ。最初のあたりにたぶんとんでもない見落としがある。そうだ、最初だ。だって後半はわりあいちゃんとやったからね。 島田荘司『占星術殺人事件』
・「即死だよ」 「即死だね」 島田荘司『占星術殺人事件』
・有権者 (elector n.) 他人の選んだ人のために賛成投票するという神聖な特権に恵まれた者。 ビアス『悪魔の辞典』
・ピアノ (piano n.) 性懲りもなくやってくる訪問客を取って押させるのに使う客間用の道具。これを操作するには、この機械の鍵盤を下へ押し下げると同時に、聞いている奴の気を滅入らせさえすれば、それでよい。 ビアス『悪魔の辞典』
・ソース (sauce n.) 文明開化の唯一の絶対なしるし。ソースを一種類も持たぬ国民は、一千種類の悪徳を持つのに対し、ソースを一種類しか持たぬ国民は、わずか九百九十九種類の悪徳を持つにすぎない。ソースを一種類発明し、これを受け入れるようになるた…
・棍棒 (cudgel n.) 愚か者の頭や肩につける外用薬。 ビアス『悪魔の辞典』
・感謝の念 (gratitude n.) すでに受けた恩恵とこれから期待する恩恵との中間に位する感情。 ビアス『悪魔の辞典』
・地球人? こんな言葉はいまの国際情勢を見るとナンセンスである。地球には人類はいるが、まとまった地球人という集団は存在しない。愚かだ。わたしはそう思う。だがそれを口にすると他人はわたしをナイーブだと笑う。 神林長平『戦闘妖精・雪風〈改〉』
・機械は人間の頭から出て具象化した思想そのものだ、零はそんな気がした。この思想を人間は乗り越えられるだろうか。それとも暴走させてしまうのか。 神林長平『戦闘妖精・雪風〈改〉』
・「ここでは、わたしは全世界を手にしているんです」チャールズは答えたものだ。「地球では、何十億の人々と世界を分けあわねばなりません。ここには、地球で見るよりずっと大きな、ずっと明るい星々があります。周囲には、まるで静かな河のような宇宙空間…