2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧
・十七歳だ きみは幸せになるだろう ランボー「ニーナの返答」(『ランボー全詩集』より)
・私たちは子供部屋にいるのではなく、すでに大人の部屋の住人であり、そこでは中途半端にしか開かないドアはすぐさま修繕されなければならない。いつも一定度以上ひらかないドアのような私たちの間柄は、早晩修理を要するものなのである。 三島由紀夫「仮面…
・それは敗戦という事実ではなかった。私にとって、ただ私にとって、怖ろしい日々がはじまるという事実だった。その名をきくだけで私を身ぶるいさせる、しかもそれが決して訪れないという風に私自身をだましつづけてきた、あの人間の「日常生活」が、もはや…
・私は新兵のように緊張していた。あそこに木立がある。あの蔭が適当だ。あそこまで約五十歩ある。二十歩で彼女に何か話しかける。緊張を解いてやる必要がある。あと三十歩のあいだ何か当たりさわりのない話をしたらいい。五十歩。そこで自転車のスタンドを…
・人々は声高に、むしろ誇らしげに、自分たちが今くぐって来た危難のことを語っていた。彼らはまさしく「革命」の群衆だった。なぜなら彼らは輝かしい不満・充溢した不満・意気昂然たる・上機嫌な不満を抱いた群衆であったからだ。 三島由紀夫「仮面の告白」…
・私には結局何一つわかっていなかった。私以外の少年たちの夜ごとの夢を、きのうちらと街角で見た女たちが一人一人裸かになって歩きまわることが。少年たちの夢に女の乳房が夜の海から浮び上る美しい水母のように何度となく浮び上ることが。女たちの貴い部…
・泣いたらおしまいだ。自分より強い奴に、涙を見せたら、それで終わりだ。自分の気持ちとは無関係に、それは哀願になってしまう。 村上龍『69 sixty nine』
・ハイウェイの光のなかを突き進むウルトラマンの精子のように 穂村弘『ラインマーカーズ The Best of Homura Hiroshi』
・摘み取られたことにこの子は気づかない、まだ夢みてる苺を囓る 穂村弘『ラインマーカーズ The Best of Homura Hiroshi』
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・こんなめにきみを会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ 穂村弘『ラインマーカーズ The Best of Homura Hiroshi』
・愚か者・オブ・ザ・イヤーに輝いた俺の帽子が飛ばされて 海へ 穂村弘『ラインマーカーズ The Best of Homura Hiroshi』
・「そしてホチキスの針の最初のひとつのように、自由に、無意味に、震えながら、光ながら、ゴミみたいに、飛ぶのよ。」 穂村弘『ラインマーカーズ The Best of Homura Hiroshi』
・終バスにふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて 穂村弘『ラインマーカーズ The Best of Homura Hiroshi』
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・「とりかえしのつかないことがしたいね」と毛糸を玉に巻きつつ笑う 穂村弘『ラインマーカーズ The Best of Homura Hiroshi』
・はたして彼らの祈りが、彼らの涙がむだであろうか? 愛が、神聖な、すべてをささげつくした愛が、およばぬ力があるのだろうか? おお、それはちがう! どんなはげしい、罪ふかい、反逆の魂が墓の下にかくれていようと、その上に咲いた花はその清らかな目で…
・明日か明後日になったら、ぼくの脳髄は辞表を出すでしょうよ。 ツルゲーネフ『父と子』
・わしらは古いおとなしい人間だよ。いろんなわずらわしいことは、わきのほうへおしやる時期が来たんだよ。たしかに、おまえのいうように、われわれの義務を実行しようではないか。そしたら、またおまけとして、幸福がもらえるかもしれないよ ツルゲーネフ『…
・「でも、ぼくはなにをいったらいいんです?人間なんてだいたい惜しむ価値がないし、ぼくなんかなおさらです」 ツルゲーネフ『父と子』