■朝、鈍い日が照つてて 風がある。 千の天使が バスケツトボールする。 中原中也『中原中也全詩歌集』

■港の市(まち)の秋の日は、 おとなしい發狂。 私はその日人生に、 椅子を失くした。 中原中也『中原中也全詩歌集』

■神もなくしるべもなくて 窓近く婦(おみな)の逝(ゆ)きぬ 白き空盲(めし)ひてありて 白き風冷たくありぬ 中原中也『中原中也全詩歌集』

■あゝこともなしこともなし 樹々よはにかみ立ちまはれ 中原中也『中原中也全詩歌集』

■幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました 幾時代かがありまして 今夜此処での一と殷盛(さか)り 今夜此処での一と殷盛(さか)り 中原中也『中原中也全詩歌集』

■どんな苦い 思い出も 生きている間は 書き替える チャンスがある だから おれたちは 生きるのをやめない 荷作りして また新に 出発する 成田美名子『CIPHER』

■生きてるん ですもの いつでも 会えるわ 成田美名子『CIPHER』

■おれ 別に 死にたくなる わけじゃないよ ただ 自分を ブッ殺したく なるんだ それだけ 成田美名子『CIPHER』

■立派な子供に ならないと 立派な大人にも なれねえんだっ 成田美名子『CIPHER』

■悪い夢を 見てそうだったら 起こしたげる それくらいの ことは できるよ 成田美名子『CIPHER』

■マンハッタンは 好きだ 誰もが冷たい 金持ちにも 浮浪者にも 等しく無関心 だからこそ 「ここにいて いいんだ」と 思わせる…… 成田美名子『CIPHER』