机上、枝条、そのほか

机上、枝条、そのほか

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アフォリズムのリハビリテーション #639

・まあ、それまで、興奮しないでしゃべることにしよう。黙ることはできないんだから、おれたちは。 ベケット『ゴドーを待ちながら』

アフォリズムのリハビリテーション #637

・ポッツォ いや心配せんでよろしい。なんとかやってみる。だが、ごく簡単に言いたい。なにしろもうおそいから。簡単に、しかも明瞭に、こいつは容易じゃない。ちょっと考えさせてもらおう。 エストラゴン ゆっくり考えなさい。その方が早いよ、かえって。 …

アフォリズムのリハビリテーション #635

・ここに我々の実際の生活が魂を下している限り、これが美しくなくて、何であろうか。見たまえ、空には飛行機がとび、海には鋼鉄船が走り、高架線を電車が轟轟(ごうごう)と駈けて行く。我々の生活が健康である限り、西洋風の安直なバラックを模倣して得々…

アフォリズムのリハビリテーション #629

・不器用な手ににぎられた武器は、自分の身を護るどころか、自分を殺すための正当な理由になるだろう J・L・ボルヘス「南部」(『伝奇集』より)

アフォリズムのリハビリテーション #626

・話すことは、すなわち類語反復に落ちいることである、この無用で饒舌な書簡もすでに、無数の六角形のひとつの五段の棚の三十冊中に存在している。 J・L・ボルヘス「バベルの図書館」(『伝奇集』より)

アフォリズムのリハビリテーション #623

・そして、ちょうど戦い疲れた戦士たちがふと海の匂い森の香りを懐かしんだりするように、この大きな世界の戦場で戦いに疲れ傷つきふと何もかも空しくなった人たちが、何故とはなしにぼくのことをふっと思いうかべたりして、そしてなんとはなしに微笑んだり…

アフォリズムのリハビリテーション #620

・でもこれは明らかにぼくの捨て台詞だった。そしてぼくは、誰よりもこのぼくが、他の若者に対してこのような捨て台詞をはいてはいけないのだということ、それをやって開き直ってはおしまいなのだということをよく知っていた。でもぼくには、もうそんなこと…

アフォリズムのリハビリテーション #617

・つまり(まだまだかつての日比谷のことを語り出したらほんとにきりがないけれど)日比谷って学校は、先生や普通の生徒はもちろん、こういった口うるさい芸術派やそれに革命派までもが呼吸を合わせて、受験競争なんてどこ吹く風、みんなその個性を自由にの…

アフォリズムのリハビリテーション #612

・それについては書くことも叫ぶことも小声で歌うこともできる……それについて画くことも……演じることも……モビール彫刻をひねり出すこともできる…… ただし、それをするのが自分でなければ…… ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』

アフォリズムのリハビリテーション #610

・「きみの計画はその当時は実行できなかったし、今では役に立たない…… ダ・ヴィンチの空飛ぶ機械の設計図のようにね……」 ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』

アフォリズムのリハビリテーション #608

・支配は決してなにも実際的な役には立ちえないのです…… 支配をさらに拡大すること以外には何の手段にもなりえないのです…… 麻薬と同じように…… ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』

アフォリズムのリハビリテーション #606

・マンコども、チンコども、そして境界線上のみんな! ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』

アフォリズムのリハビリテーション #604

・贅沢なものじゃのう、戦争ちゅうもんは。 井伏鱒二「遙拝隊長」(『日本の文学53』より)

アフォリズムのリハビリテーション #601

・「ああ神様! あなたはなさけないことをなさいます。たった二年間ほど私がうっかりしていたのに、その罰として、一生涯この窖(あなぐら)に私を閉じこめてしまうとは横暴であります。わたしは今にも気が狂いそうです。」 井伏鱒二「山椒魚」(『日本の文…

アフォリズムのリハビリテーション #599

・すべて移ろい行くものは、 永遠なるものの比喩にすぎず。 かつて満たされざりしもの、 今ここに満たさる。 名状すべからざるもの、 ここに遂げられたり。 永遠にして女性的なるもの、 われらを牽きて昇らしむ。 ゲーテ『ファウスト』

アフォリズムのリハビリテーション #595

・現在起っていることなどみな、 過去の輝かしい時代の、 侘しい余韻にすぎないのです。 ゲーテ『ファウスト』

アフォリズムのリハビリテーション #592

・貴様もいつかきっと自分が神に似ているのが怖くなるだろう。 ゲーテ『ファウスト』

アフォリズムのリハビリテーション #589

・己は君ぐらいの人物にすぎなかったのに、 これまで背伸びをしすぎてきた。 ゲーテ『ファウスト』

アフォリズムのリハビリテーション #586

・己がある刹那に向って、「とまれ お前はあまりにも美しい」といったら、 己はお前に存分に料理されていい。 己は喜んで滅んで行く。 そうしたら葬式の鐘が鳴るがいい、 その時は君の奉公も終るのだ。 時計が停り、針も落ちるがいい。 己のすべては終るのだ…

アフォリズムのリハビリテーション #583

・人間は精を出している限りは迷うものなのだ。 ゲーテ『ファウスト』

アフォリズムのリハビリテーション #576

・地球は、もっとも死の多いところでもっとも肥沃だった。 カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』