机上、枝条、そのほか

机上、枝条、そのほか

アフォリズムのリハビリテーション #1093

■私はプラハ政治犯の恩赦のため署名活動を組織する編集者のことを考える。その活動が囚人たちの助けにならないことを彼はよくわきまえていた。真の目的は囚人を解放することではなしに、まだここに恐れてはいない人たちがいることを示すことにあった。やったことは芝居でしかなかった。でも他の可能性はなかった。行動か芝居かの選択はなかった。選択できたのは、芝居をするか、何もしないかであった。人が芝居をするのを余儀なくされる状況というものはたしかにある。

ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』